第11回大使レター
平成27年3月16日本年2月26・27日にコモロフスキ大統領が日本をご訪問され、両陛下とのご会見、安倍総理との首脳会談に臨まれ、訪問は大成功に終わりました。この訪問は両国の関係が「戦略的パートナーシップ」の次元に格上げされたことを確認する歴史的な訪問となりました。
本レターでは、今回の訪日における日・ポーランド首脳会談の主な成果をご報告します。なお、2月26日付当地ジェチポスポリタ紙に掲載された本使寄稿文も参照ください(リンク)。
政治・安全保障分野における関係強化
●両首脳は、ウクライナ情勢につき、ウクライナ問題が同国の主権を完全に尊重しつつ平和的かつ外交により解決されるべきとの見解を共有しました。
●両国がウクライナにおいて開発協力で連携する可能性を検討することで合意しました。今回の大統領の訪日に際して、同行したカツペルチク外務次官は日本外務省のカウンターパートと協議を実施しました。ウクライナに大規模な支援を行っている我が国と隣国としてウクライナの様々なニーズに合わせた効率的な支援を行っているポーランドとの援助協力が近く実現することを期待します。
●両首脳は、テロ及び地域情勢についても意見交換、暴力的過激主義の台頭や力による現状変更の試みは断固として許さず、両国が地域と世界の平和と安定に積極的に貢献することで一致しました。
●両首脳は、政治・安全保障協力の具体的な強化に向けて、両国外交当局の次官級・局長級の協議、防衛当局間協議を定例化することで合意しました。また両国の安全保障局間の対話も深めることで合意しました。
●日本貿易振興機構(JETRO)とポーランド情報・外国投資庁(PAIiIZ)との間の覚書改定を歓迎しました。両機関は、今後両国の相手国での投資や農産品等の市場開拓を支援します。
●両首脳は、日EU経済連携協定(EPA)を早期かつ成功裡に締結する重要性を強調しました。
●両首脳は、クリーンコール技術及び原子力を含むエネルギー分野や科学技術分野での協力を更に促進することに合意しました。
●ポーランド産豚肉の輸入問題については、両首脳は、科学的評価に基づく地域主義の原則を適用してポーランド産豚肉の輸入を再開するため両国の専門家による協議を促進することを決定しました。
●両首脳は、観光分野を含む人的交流の重要性を強調しました。首脳会談後、本使と在京ポーランド大使との間で「ワーキング・ホリデー制度」に関する二国間協定への署名が行われました。本制度は、本年夏頃にも発効する見通しで、両国の若者が同制度を活用して相互に訪問、交流して、相互理解が一層深まることが期待されます。
●両首脳は、本年の第17回フレデリック・ショパン国際ピアノコンクールに日本から国別で最多の応募者がいることを歓迎し、同コンクールが二国間の人的交流に好ましい影響をもたらすことへの期待を表明しました。
以上のとおり、今般のコモロフスキ大統領の訪日は、両国が戦略的パートナーとして幅広い分野での協力を更に強化させていく意思を確認した機会であり、歴史的な意義があります。
日本政府・大使館としては、今次訪問のモメンタムを活かし、その成果が確実に実施されていく形で両国関係が更に発展するよう、取り組んでいく所存です。皆様の引き続きのご理解とご協力をお願い致します。
山中 誠