領事・医療
鳥インフルエンザにつきまして(第1報)
現在、世界中を騒がせている鳥インフルエンザですが、トルコ、ルーマニアでの鳥インフルエンザ発生の報道を受け、ヨーロッパでの感染拡大が懸念されています。
ポーランドにおけるインフルエンザワクチン予防摂取率は、例年7%程度(14人に1人)と低かったのですが、本年は鳥インフルエンザへの懸念から、その数倍の人数が接種しようとしており、現在、ポーランド全土で深刻なワクチン不足が起きており、一種のパニック状態の様になっています。
現在ヒトに接種しているインフルエンザワクチンは鳥インフルエンザに対する予防効果はありません。
ただ、WHO(世界保険機構)は、鳥インフルエンザに感染する可能性の高い人にはヒトのインフルエンザワクチンの接種を勧めています。これは鳥インフルエンザを予防する目的ではなく、ヒトにおいてヒトとトリのインフルエンザウイルスに同時に感染することを防ぐのが目的で、同時感染により、ヒトの体内でウイルスにおける組み換えが起こって、新しいインフルエンザウイルスが作り出される危険性を減らすのが目的です。
現在までのところ、ヒトへの感染例が報告され死亡例も出ている、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)については、ヒトへの感染総数は117例(うち死亡60例)でそのほとんどがアジアで発生しています。
感染例のほとんどが、多数の鳥と密接に接触する環境で生活している人達であり、通常の生活をしているヒトへの感染例は極めてまれです。
予防としては、不特定多数の鳥と接触しないこと、手洗い、うがいです。
渡り鳥等を介して感染が拡大する危険性があり、ポーランドでも発生する危険性は十分にあります。まずは正確な知識を持ち、冷静に対応するように心がけて下さい。
国立感染症研究所の下記のサイトにQ&A形式で、非常に詳しくかつ解りやすく、鳥インフルエンザに関する解説が書かれています。ご一読をお勧め致します。
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/QA040401.html#human
まとめ
1. ヒトのインフルエンザワクチンは、鳥インフルエンザに対する予防効果はない。
2. ヒトのインフルエンザ治療薬が鳥インフルエンザの治療に有効であったとの報告はある。
3. 予防手段としては、風邪などのウイルス疾患と同様に、手洗いとうがいしか現在のところありません。冬場の健康管理として、手洗いとうがいを励行しましょう。
4. 新種のインフルエンザウイルスが発生する場合を除いて、鳥インフルエンザがポーランドに流入したとしても、都市部で普通の生活をするヒトへ感染が拡大するとは考えにくいので、冷静に対応しましょう。
関連リンク:
外務省 海外安全ホームページ(感染症関連情報)
厚生労働省
国立感染症研究所
WHO(日本語)
労働者健康福祉機構 海外勤務健康管理センター
「海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイドライン」