大使ご挨拶
コモロフスキ大統領令夫人、
ご列席の皆様、
本日はこの会にご出席いたいだき、感謝申し上げます。特に、大統領令夫人におかれましては、ご多忙の中ご臨席を賜り、誠に光栄であります。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から1年が経過しようとしています。この一周年の機会に震災で亡くなられた二万人に及ぶ方々に対し、また、ポーランドにて先日起きた痛ましい列車事故の犠牲者の方々に対し、皆様とご一緒に黙祷を捧げたいと思います。
(黙祷)
有り難うございました。
震災発生から今日までの1年間は、日本国民にとって悲しく困難なものでしたが、こうした中でポーランドをはじめ国際社会から寄せられた連帯と支援ほど、私どもを勇気づけたものはありませんでした。この場を借りて、ポーランドの国民と政府に対して改めて心からお礼を申し上げます。日本とポーランドの国民レベルの連帯―「絆」―の強さを示した事例は枚挙に暇がありません。被災直後から日本大使館前に献花してくれた人々、義捐金を提供してくれた多くの人々、コンサート開催やCD作成などのチャリティ活動を行ってくれた人々、被災地の子ども達をポーランドへ招待する「絆の架け橋」プロジェクトを実行してくれた人々,被災地の幼稚園の再建を支援してくれた人々、等などです。玄関ホールに吊された折鶴(千羽鶴)も、被災地の復興を祈ってポーランドの人々や学生たちが寄贈してくれたものです。同じく玄関ホールに展示された被災地の子供たちの絵は、こうした温かい支援に感謝する彼らの真摯な気持ちを表したものです。
被災からの1年間、日本国民は、力強く一丸となって復興と再生に向けて取り組んで参りました。 本日展示されている写真やビデオをご覧になって下さい。 未だ課題は残っているものの、被災地のインフラや経済が着実に回復していること、そして、人々に笑顔が戻りつつあることがご理解いただけると思います。既に、約1,800億ユーロ(18兆円)の復興予算が確保されたほか、新たな法整備により、「復興庁」という行政組織が設置され、復興財源をまかなう臨時増税や被災地経済の活性化のための「復興特別区域」も創設されました。事故を起こした原子炉については、昨年末に「冷温停止状態」を達成しましたが、引き続き安全と健康を最優先として、除染や廃炉に向けた努力が継続されています。このように,被災地では一部の規制区域を除き,ほとんどの地域が震災前の日常に戻っています。したがって、ビジネス、観光、留学などで、安心して日本を訪問して欲しいと思います。被災地の復興計画の多くは、再生エネルギーや先端医療などの技術革新を導入することにより「エコ・シティー」や「スマート・シティー」を目指す野心的なものです。復興が完成した被災地は、単にもとの姿に戻るのではなく、新しい日本を代表する未来都市空間を創造するものとなるでしょう。
大きな災害に遭うと、人や国は内向きになることがあります。我が国は、国際社会からいただいた支援に恩返しするためにも、決して内向きになることなく、国連PKOやODAなどをはじめとして積極的な国際貢献を続けていく考えです。特に、今回の被災と復興の経験から得られた防災、原子力安全、危機管理などに関する教訓や知識については、これを広く国際社会と共有していく決意であります。そのための国際会議の日本開催なども計画されています。
以上、東日本大震災に際しての温かいご支援に改めて感謝申し上げるとともに、復興に邁進する我が国の現状と今後の取り組みについてご紹介させていただきました。
ありがとうございました。