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ジェチポスポリタ紙への大臣寄稿文

古くて、新しい友人。

日本国外務大臣 岸田文雄

私は、昨年8月にハンガリーを訪問した際、ヴィシェグラードという古都を訪れました。ヴィシェグラードには、1335年、当時のボヘミア王国、ハンガリー王国、ポーランド王国の国王が協力につき話し合いを行ったというお城があります。チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの4つの国が、この故事にちなんで、この古都で長い歴史の絆と、同じ志を共にして、深く、強く協力していくこととしてから、20年余りが経過したところです。

そうした同志の集まりに、我が国が招き入れられたのは、11年前の2003年のことです。ユーラシア大陸の西側に、1956年のハンガリー動乱、1968年のプラハの春、1980年の自主管理労組連帯の動きを経て、今度こそ確実に自由と民主主義、平和と繁栄を手に入れたヴィシェグラード4カ国と、ユーラシア大陸の東側で、アジアにおける民主国家の先駆けとして発展を遂げてきた日本。4カ国と日本との間の関係は、もう100年にもなろうとしていますが、「V4+日本」協力は、始まってから昨年で10年の節目となりました。2013年6月には、ワルシャワに「V4+日本」5か国の首相が一堂に集い、初めてとなる首脳会合が開催されました。これからは、首脳間の話し合いの結果も受け、互いの経験を活かしつつ、21世紀にふさわしい、緊密な関係を結びたいと思っています。我々は、古くて、新しい友人です。

昨年11月11日、私はこうした思いを胸に、インドのデリーで、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの同僚と意見交換の場を持ちました。そこで、4カ国と日本との間には、共に進めていける課題が数多く存在することを改めて確認できました。例えば、4カ国の東隣の国々や、西バルカン諸国を支援するために、民主主義や市場経済といった基本的価値を共有する国として、共に協力できることがあります。モルドバやセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロなどの国において、共同プロジェクトを実施することに合意できました。また、東アジアと欧州の安全保障環境が互いに連関していることや、「法の支配」を重視しつつ、互いの地域のことについて学びあい、議論し、協力できることについても認識が一致しました。日本が掲げる「積極的平和主義」を実現する上でも、4カ国はもっともふさわしいグローバル・パートナーの一つです。

2014年は「V4+日本」交流年です。これからの4カ国と日本の関係においては、互いの交流の増進が何よりも大切です。現在、東京、プラハ、ブダペスト、ワルシャワ、それにブラチスラバでは、ジョイント・コンサート、伝統文化行事紹介、日本についてのセミナーなど、様々な行事が計画されています。日本は、東日本大震災という3年前の大きな悲劇から、4カ国の皆様方の御支援も受けながら震災復興を進めています。また、東京は2020年の夏季オリンピック・パラリンピック開催都市に選ばれました。日本は元気になっています。この「V4+日本」交流年を機会に、ますます多くの皆様が日本を訪れ、5カ国の絆が深まっていくことを期待しています。

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