二国間情報
日・ポーランド首脳会談 共同記者会見
8月19日、日・ポーランド首脳会談終了後、16時(当地時間)より30分間、両首脳による共同記者会見が行われたところ、概要以下のとおり。
1.冒頭発言
(1)ミレル首相より、以下のとおり発言。
(イ) 日本の総理大臣の13年ぶりの「ポ」訪問を歓迎したい。昨年は、天皇皇后両陛下が「ポ」を御訪問された。今回の総理訪問は、日・「ポ」の交流が深まっていることの証しである。
(ロ) 今回、日本との間で共同声明に署名したが、これは、欧州のみならず国際社会における両国関係を戦略的パートナーシップへ発展させていくということである。このような関係構築は、「ポ」と日本の長い交流の歴史、民主主義と市場経済に向けたポにおける改革の成功、(日本が世界的レベルで戦略的パートナーシップを確立してきた)EUに「ポ」が加盟することによって、新たな可能性が生まれてきたことに起因する。
(ハ) 今回の首脳会談では、日・「ポ」の経済関係・文化交流についても話し合った。日・「ポ」の貿易額は10億ドル程度であるが、「ポ」の輸出が少なくインバランスとなっている。この問題についても、経済閣僚レベルによる会合の開催などを通じて「ポ」と日本の間で解決していきたい。また、日本の投資については、「ポ」における外国投資額の中で21位である。これについても、日本の投資を増やしていきたい。
(ニ) 国際関係についても、イラクや国連改革等、「ポ」と日本の協力の可能性につき話し合った。「ポ」・日間で、様々な分野における協力について話し合えたことに満足している。「ポ」・日の協力は国際社会の中で重要な役割を担えることと思う。
(2)小泉総理より、以下のとおり発言。
(イ) 今回、「ポ」を訪問することができ、また温かく歓迎して頂いて感謝申し上げる。4月に電話会談を行い、「ポ」へ御招待を頂いた。これが実現できて嬉しく思っている。昨年7月には、天皇皇后両陛下がポを御訪問され、大歓迎されたことに対しあつく御礼申し上げる。これが両国の友好関係増進に大きく寄与したことを実感した。
(ロ) 日本と「ポ」は、地理的に離れているにもかかわらず、「ポ」はキュリー夫人やショパンなど日本人にとってとても身近な存在であり、両国関係は友好的に推移してきた。今回署名した共同声明は、将来にわたる二国間のあるべき姿を打ち出したもので、今後、これに沿って、日・ポ関係を発展させていきたい。
(ハ) 「ポ」は、歴史上、幾多の困難を乗り越え、近年は、自由・民主主義、市場経済に向けた改革を進め、今や日・「ポ」両国は共通の価値観にたっている。「ポ」のEU加盟は、これまでの改革の1つの到達点であり、同時に今後の発展への出発点でもある。「ポ」がEU内で重要な役割を果たすことと、日本との関係を強化することは、完全に両立する。今後、国際テロ対策、イラク、北朝鮮など主要な国際問題についても、日・「ポ」で協力していきたい。
(ニ) 本日、ミレル首相に訪日を招待した。今次訪問は、今後、いろいろな分野について両国間で協力していける契機となり、いい訪問になったと思う。
2.質疑応答
(1) (「ポ」側記者) 北朝鮮問題に関する六者協議において日本は何を期待するのか、総理の見解如何。
(小泉総理) 協議開催に至るまでには紆余曲折があったが、日・米・韓・中・露ともに平和的・交的解決を目指している点で一致している。北朝鮮は、核開発問題については、当初、米との二国間交渉のみで多国間では交渉しないと言っていた。日本としては、北朝鮮を孤立させるのではなく、国際社会の中で責任ある国家にしていくことが、世界にとっても、朝鮮半島にとっても、望ましいと考え、働きかけてきた。六者協議では、北朝鮮の核開発問題が重要な議題になるだろう。但し、日本にとっては、核問題だけではなく、拉致問題も非常に重要であり、六者協議の場でも拉致問題について主張していくことになろう。今後の状況を見て、この問題に如何に対処するか、判断していきたい。
(2) (日本側記者) イラク戦争の際は、国連安保理において米英と仏独露が対立し、国連が機能不全に陥ったが、国連改革に関する総理の見解如何。
(小泉総理) 日本は戦後一貫した外交方針として日米同盟の重要性と国際協調の重要性の両立を目指してきた。イラクの問題をめぐって、米英とその他安保理理事国の考え方が一致しなかったが、復興支援については国連として一致した決議が採択された。今後、イラクの人道復興支援面で国際社会が協力していく必要がある。日・「ポ」間にも協力の可能性がある。日本は国連改革の必要性を訴えてきたが、「ポ」も同じ認識である。各国いろいろ考え方があるが、日・「ポ」も国連改革の分野で協力していけると思う。
(3) (「ポ」側記者) なぜ日本の投資家は「ポ」を避けるのか、総理の見解如何。
(小泉総理) 日本の投資家が「ポ」を避けているということはない。ミレル首相とも話したが、日本から「ポ」への投資額が少ないことは、将来拡大する潜在力があることを意味する。お互いに、「ポ」から日本、日本から「ポ」への投資促進のため、一層の環境整備をしていくことを話し合ったところである。
(4) (日本側記者) 「ポ」は、イラク中南部の「ポ」管理区域において、日本の自衛隊との協力で何を期待するか。
(ミレル首相) 現在、1800人の「ポ」兵士がイラクで展開している。もし、日本政府及び議会が「ポ」の管理区域へ自衛隊を派遣もしくは政府職員、民間人等の派遣を決定したら、協力したいと思う。「ポ」のこれまでのイラクでの経験と知恵を日本にも伝えたい。日本の友人と一緒に働いていきたい。
(5) (日本側記者) 先ほど、イラクの国連代表部が爆破され死者が出たと報じられているが、イラクの治安状況につき総理の認識には甘さがあったのではないか。
(小泉総理) イラク復興支援については、ポーランドは既に1800人の兵士を派遣している。今後、情報交換その他で現地で協力して頂けるとありがたい。イラクの国連代表部の爆破事件については、大変残念であり、厳しい治安状況の中で、現地において活動されている各国の関係者に対し、心から敬意を表したい。日本政府としても、現地の状況を注視しつつ、できるだけ復興支援をしていきたい。